2024年問題とドローンと青空

  

 

 2024年問題とは、2024年4月からトラック運転手の1日の拘束時間が、宿泊を伴う場合を除き、最大15時間以内(年間時間外労働時間の上限が960時間)になることで生じるトラック運転手の不足のことを指す。この制度の変更は、運転手の健康と安全を守ることを目的として導入されたものだが、それに伴いトラック運転手の労働時間が大幅に制限されることとなり、すでに労働者不足が進行している業界において、一層の人手不足が懸念されている。この状況が、物流の遅延やコスト上昇などの問題を引き起こす可能性があり、経済全体に影響を及ぼす恐れがある。9月7日の日本経済新聞では、国交省が運転手が日帰りできない片道約300~600キロメートルの範囲を目安に、出発地と到着地の中間地点に拠点をつくることで、2024年問題に対応しようという方針を明らかにしたと記載されている。この新たな拠点は、運転手の休憩や交代の地点として機能し、長時間の連続運転を防ぐ狙いがある。また、運転手たちが適切な休息を取れる環境を整備することで、事故のリスクを低減させることも期待される。業界関係者からは、この取り組みが実際に労働環境の改善に寄与するかどうかに注目が集まっている。
 また、別の取り組みとして、スタートアップ企業による新興技術によって輸送を支援しようという試みもある。9月7日の日本経済新聞では、輸送を支援する企業としてテラ・ラボ(愛知県春日井市)、メトロウェザー(京都府宇治市)の2社をを挙げていた。テラ・ラボは衛星通信システムを用いて長距離を飛ぶ観測用の無人機を開発し、メトロウェザーはレーザー光を使って遠方の風向きや風速を実測・予測し、ドローンの飛行を支える技術を持つ。これらは安保分野の技術として取り上げられていたが、2024年問題にも対応できると考える。ドローンが普及すれば運送会社の負担は大幅に減る。しかし、ドローンを街で飛ばすとなるとさまざまな問題が生じる。安全性の問題、プライバシーの問題、騒音の問題、通信システムの問題、法律の問題、景観の問題、少し考えるだけでもこれだけの問題が出てくる。これらの問題の中で私が特に注視しているのが騒音の問題と景観の問題である。ドローンが実際に飛んでいるところを近くで見た人ならわかると思うが、モーター音がかなり大きい。また、気分が上がらない時、落ち込んだ時に空を眺めると、空には人工物がないので気持ちが落ち着く。しかしmそこにドローンが飛び交っているのを想像すると途端に静寂が破られるような感覚にとらわれる。空の広大さや自然の美しさが、一つの機械の存在によって影が差されることを考えると、技術の進化と環境の調和がどれほど難しい課題であるかを改めて感じる。人々の生活の利便性を追求する一方で、私たちは大切にしたい心の安らぎや風景の美しさを犠牲にしてはならないと思う。

参考文献:日本経済新聞(9月7日)