日本人としての誇りはありますか?

 


「日本の魅力は何ですか?」と問われた時、あなたは何と答えますか?一見すると、「その質問と日本人としての誇りに何の関係があるんだ?」と思うかもしれません。しかし、生活経済評論家の川北義則氏は、著書「20代でやっておきたいこと」で自国に対する「誇り」について以下のように語っています。
 「外国人を相手にビジネスをするときに一番大事なのは自分の国の知識だ。」もし、外国人から日本について聞かれた時、何も答えられない、もしくは曖昧な返答になってしまった時、相手には、「自分の国のことをろくに知らない。国に誇りをもっていない。自分の国に誇りをもてないやつなど信用できない。」と思われてしまうのだ。
 9月8日の日本経済新聞では、外国人には「コンビニ」が人気だという記事が載っていました。「外国人からは、コンビニは品質から梱包、陳列まで細部に渡るこだわりが魅力的だという。」もしかしたら、日本人よりも外国人の方が日本について知っているのではないかと思いました。
 日本は無宗教の国です。国が一体となってある一つの宗教を信仰しているわけではありません。12月25日にはクリスマスを祝い、翌週の1月1日には神社に行き、初詣をします。また、日本らしさの多くは、文明開花が起きた明治時代に失われてしまったように思います。ちょんまげを切り、西洋の服を着て、レンガの家に住むようになりました。それによって日本人の見た目は全く違うものになりました。これらの話に付随して日本ではよく、「日本人は「自分」がない」、「日本人としてのプライドがない」などと言われることがあります。
 しかし、日本人は皆、日本人としての誇りをもっていると思います。周りからはプライドがないように見えて、心の内側ではしっかりとした「自分」をもっているのが日本人だと思います。その日本人の精神として代表されるのが「謙虚さ」です。それは日本を代表するスポーツ選手を見ると分かります。例えばイチロー選手や大谷翔平選手。彼らは誰も成し遂げたことがない記録や結果を残しても、傲慢になることはなく、どこまでも謙虚です。無理にそうしているわけではなく、日本の文化で育ったので自然とそのような姿勢になっているのだと思います。
 謙虚さが大切だと目に見えて分かったことがあります。それは先週9月2日に行われたバスケ男子日本代表の試合。対戦相手はカーボベルデ。アフリカにある人口60万人ほどの島国である。日本は第3クォーターまで有利な展開を繰り広げます。しかし、第4クォーターになかなか点を取ることができず、点差がどんどん縮まっていきます。その時、カーボベルデの一人の選手が、しつこい日本のディフェンスに苛立ち始め、冷静さを失い、大事な場面でファールを取られます。このプレーで流れは変わり、日本にも得点が入り始め、結局日本が勝利を収めることになりました。私はあのプレーがなければ日本は危なかったと思います。謙虚であることは、平常心を保ち、精神を落ち着かせることにつながります。サッカーや野球をはじめとするプロの日本人選手を見ても、衝動的になって物にあたるような冷静さをかいた行動はあまり見受けられません。そして、大谷選手の謙虚な姿勢というのは世界でも称賛されています。私はこの精神こそが日本の魅力だと思います。日本の魅力、それはみなさんの周りの日本人を見ていれば分かります。そして「謙虚さ」を文化として持っているのが日本人としての誇りであると思います。

参考文献 
 「20代でやっておきたいこと」, 川北義則, 三笠書房
 日本経済新聞(9月8日)